2024年02月09日
NVMe-oFに全速前進!

世界中で日々膨大な量が生成されるデータを、高速でやり取りすることを求めるユーザーの期待に応えるため、クラウドサービスのプロバイダーやOEMのデータセンター・アーキテクトたちは、ITインフラストラクチャへのNVMe™およびNVMe-oF™への投資を拡大しています。

ウエスタンデジタルは、OpenFlex™ Data24 NVMe-oFストレージプラットフォームの強化版、次世代RapidFlex A2000およびC2000 NVMe-oFファブリック・ブリッジ・デバイス(FBD)、および新しいUltrastar® DC SN655 PCIe® Gen 4.0デュアルポートNVMe SSDを発表し、次の段階のNVMeとNVMe-oFを立ち上げました。

IT分野を中心とした調査機関、Gartner®が2023年6月に発表した「ブロックストレージのトレンド:NVMe Over Fabric」レポートによると、NVMe-oFプロトコルは、容量とコンピューティングを独立して拡張するディスアグリゲーテッド・ストレージ・コンピューティング、ソフトウェア・デファインド・ストレージの使用、ハイパーコンバージド/コンポーザブル・インフラなど、次世代ストレージアーキテクチャの導入を加速しています。

「当初、NVMe-oFはクラウド最大手企業の独自アーキテクチャでしたが、当社のお客様の間で導入の機運が高まっています」とウエスタンデジタルのプロダクトマネジメント担当シニアディレクター、Scott Hamiltonは述べています。「今日では、実績のある垂直統合ソリューションをCSPやXSPに提供することで、パフォーマンスを犠牲にすることなく、使用率を最適化できるようになりました」。

またHamiltonは、将来的にはイーサネットがストレージに最適なファブリック接続として選ばれるようになると考えています。

「CSPやXSPはSASから決別し、フラッシュを皮切りにしてイーサネットに移行していくでしょう」とHamiltonは語っています。「当社が初めてディスアグリゲーテッドアーキテクチャを開発したときにイーサネットを選んだのは、それが地球上で最もユビキタスなファブリック接続方法だったからです。また費用対効果の面においても、もっとも高い効果を得ています」。

NVMe/NVMe-oFを選ぶ理由は?

SASのようなレガシープロトコルは、高速ストレージメディア用として設計されていません。NVMeをベースにしたPCI Express(PCIe)は、その速度とCPUへの近接性のメリットから、次の論理ストレージインターフェースとして台頭しました。NVMe-oFは、サーバー間でフラッシュリソースを共有して効率性、可用性、柔軟性を向上させることにより、NVMeのパフォーマンス上のメリットをさらに一歩進めます。

100%クラウドストレージに特化したプロバイダーであるWasabi Technologiesは、NVMeとNVMe-oFに注目している企業の1社です。WasabiのHot Cloud Storageは、データへの高速アクセスを提供します。

「NVMeは、ストレージにアクセスするための標準化されたプロトコルを提供し、高信頼性、高性能のトランスポートレイヤーを提供します」とWasabiのエンジニアリングおよびオペレーション担当SVPのPramod Kalyanasundaram氏は述べています。「NVMeとNVMe-oFは、より高いスループットとIOPが要求される環境において、当社のインフラストラクチャのストレージレイヤーにぴったり収まり、当社のサービス提供に欠かせない要素となっています」。

オブジェクトストレージベンダーのCloudianは、クラウド・ネイティブ・ソリューションのディスアグリゲーションを推進しています。

「お客様のワークロードがパフォーマンスを重視するようになると、それをサポートするために、さらに高速なメディアが必要になります」とCloudianでプロダクトマネジメント担当シニアディレクターを務めるGlenn Haley氏は述べています。「AI、データレイク、データウェアハウスなどのワークロードにより、オブジェクトストレージはバックアップとリカバリからプライマリストレージへとシフトしていきます。分析が必要となるメインストリームワークロードを支えることで、このシフトを可能にするのがNVMeとNVMe-oFです」。

オンデマンドのリソース

従来のSASベースのハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)では、それぞれが必要とするリソース量に関係なく、ストレージとコンピューティングの両方が同じサーバーに同居しています。その結果、ストレージはサーバーの中に閉じ込められた状態になります。一方、NVMe-oFはリソースをディスアグリゲートすることで柔軟に構成できるので、まとめてプールすることができ、必要に応じて使用した後、別のワークロードが使用できるように解放します。

フランスの脳および脊髄研究機関であるICM Brain and Spine Instituteは、ウエスタンデジタルのOpenFlexプラットフォームを利用して、必要に応じたストレージ容量のサイズ変更と再配置を行い、神経疾患との闘いを支援しています。

ICMのITチームは、研究者それぞれのニーズに合わせて迅速かつ容易にストレージを配置し、必要に応じてストレージボリュームのサイズ変更と再配置ができる柔軟性を備えています。このように技術の進歩に合わせてリソースをシームレスに追加できるため、ICMはITモデルと投資を将来にわたって維持することができるのです。

オーバープロビジョニングを抑える

共有ストレージのもうひとつのメリットは、リソースのオーバープロビジョニングの適用を抑えることです。ハイパーコンバージド・インフラストラクチャでは、より多くの容量が必要になった場合、ストレージとコンピューティングの両方とも必要かどうかにかかわらず、容量が同じ割合で追加されてしまいます。企業や組織は、必要なときに容量が不足することを恐れるあまり、このオーバープロビジョニングを多用してしまいがちです。

スペインに本社を置く大手通信会社であり、欧州やラテンアメリカなどに3億4,500万以上の顧客をもち、コンテンツ配信ネットワークサービスも手がけるTelefonicaは、ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャに移行しました。ライブストリーミングとビデオオンデマンド(VOD)のストレージ要件は、多数の加入者がライブ番組に同時アクセスする場合と、多彩なコンテンツが掲載されたメニュー画面から好みの番組を選択する場合とでシステムへの負荷が異なります。ストレージとコンピューティングの両方を同じサーバーにデプロイすると効率が低下し、コストが増加します。NVMe-oFを使用することで、Telefónicaは複数のサーバー間でストレージ容量の共通プールを共有できるため、高いパフォーマンスを維持しながらコストを削減することができます。

使用率の最適化

サーバーからストレージを独立させることで、ストレージとサーバーの使用頻度が必ずしも一致しないことで起こるリソース使用率の低下も回避できます。SSDのリフレッシュをサーバーのリフレッシュから切り離し、イーサネット経由で外部から共有することで、フラッシュをオンデマンドで使用することができます。これは、5~7年分のフラッシュをサーバーに搭載しながらも、そのフラッシュがサーバーの存続期間中に消費されることを期待するだけとは対照的です。

「リソースを十分に活用できていない、あるいはストレージとコンピューティングの両方がサーバーの中に収められている状態でサーバーを廃棄する必要がある場合、残っているリソースがすべて無駄になってしまします」とHamiltonは述べています。「オンデマンドのリソース共有プールにより使用率を最大化すれば、TCO(※)を改善することが可能です」。

※TCO…Total Cost of Ownershipの略で「総保有コスト」のこと。ある設備などの資産に関する、購入から廃棄までに必要な時間と支出の総計(ウィキペディアより抜粋)

データ復旧

ウエスタンデジタルのプラットフォーム担当CTOのBarrett Edwardsによると、ディスアグリゲーションは、その柔軟性に加えて、データがサーバーではなく共有ドライブに保存されるため、目標復旧時間(RTO)の短縮にもつながります。

「ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャでは、サーバーからドライブを取り出し、リモート・ストレージ・エンクロージャか共有ストレージ・エンクロージャに格納します」とEdwardsは説明します。「サーバーはステートレスの状態になります。たとえサーバーがダウンしても、データはサーバーに存在しないため、データが失われることがないのです」。

ある大手のデータ保護会社は、クラウドとオンプレミスの両方でバックアップ、復旧、アーカイブを提供しています。同社は、ウエスタンデジタルのOpenFlex Data24 NVMe-oFストレージプラットフォームによるフラッシュベースのNVMe-oFを採用し、迅速なデータ復旧を実現しています。

エコシステムの実現

データセンターでは、より高いパフォーマンスと低遅延が要求されるワークロードに対応するために、フラッシュとNVMeが組み込まれています。NVMe-oFは、リソースと使用率を最適化することでTCOを改善します。

ウエスタンデジタルは、NVMe-oFを導入する組織にとって信頼できるパートナーであり、ワークロード間でのフラッシュストレージの共有を容易にします。同社の強化されたソリューションは、NVMeおよびNVMe-oFエコシステムをさらに拡大し、CSPやOEMが最新のインフラストラクチャにこれらの高速プロトコルを採用する際に、より優れた柔軟性と多くの選択肢を提供します。

ウエスタンデジタルは2023年8月8日から10日に開催されたフラッシュメモリーサミットで、これらの強化された製品群を披露し、当社のプラットフォーム担当CTOのBarrett Edwardsが「NVMe over Fabricによるコンポーザブル・インフラストラクチャの進化」と題した基調講演を行っています。

※Gartner®はGartner Inc.または関連会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、同社の許可に基づいて使用しています。不許複製。

 

イラスト:Cat Tervo

 

著者: Anne Herreria

※Western Digital BLOG 記事(JUNE 24, 2022)を翻訳して掲載しています。原文はこちら

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