2024年01月26日
解説:HDDの面記録密度

なぜハードディスクドライブ(HDD)は、3.5インチや2.5インチといった小さなスペースに膨大なデータを保存できるのか、不思議に感じたことはありませんか? これはHDD容量を増やす原動力である面記録密度が重要な役割を担っているのです。
それでは、面記録密度についてご説明していきます。

面記録密度とは何ですか?

面記録密度とは、HDD内部にあるプラッターと呼ばれるアルミ製あるいはガラス製の円盤表面の1平方インチあたりに保存できるデータ量のことです。
面記録密度が高くなれば、より小さなスペースに、より多くのデータを保存できます。

面記録密度の尺度は?

通常はギガビット/平方インチ(Gb/in2)で表されますが、大容量ハードドライブの場合はテラビット/平方インチ(Tb/in2)で表されることもあります。

面記録密度の計算方法は?

1インチあたりのビット数(BPI)に、1インチあたりのトラック数(TPI)を掛け合わせて計算されます。

HDD上のビットとトラックとは何ですか?

HDDはプラッター表面の小さな領域を利用し、そこを正または負に磁化することでデータを保存します。各小領域は情報の「ビット」を表し、回転するプラッターに円形の「トラック」を形成し、それらを密接に隣接するように配置しています。

面記録密度を高める方法は?

面記録密度を高めるには、トラックの間隔を狭めて1インチあたりのトラック数を増やすか、ビットの間隔を狭めて1インチあたりのビット数を増やす2つの方法があります。

ウエスタンデジタルはどのようにして面記録密度のリーダーシップを拡大してきたのですか?

1. エネルギーアシスト垂直磁気記録(ePMR):ePMR技術は、書き込みメカニズムに追加の電流を印加することで、より安定した信号を生成することができます。これにより、ビットをより近接して配置することが可能になります。
2. シングル磁気記録方式(SMR):ディスク上にトラックを屋根瓦のように重ねることで、同じスペースにより多くのトラックとデータを詰め込むことができます。
3. UltraSMR:SMR技術の新たな高密度形式であるUltraSMRは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのアルゴリズムの進化の集積であり、よりアグレッシブなトラック間隔を実現します。
4. OptiNAND™: 拡張メタデータを使用してタスクを内蔵したiNANDフラッシュデバイス(フラッシュメモリー)にオフロードすることで、プラッター1インチあたりのトラック数を増やすことに成功しました。
5. トリプルステージアクチュエータ:3つのピボットポイントを使用することで、磁気ヘッド(レコードの針のように、プラッターを往来してデータを記録する装置)をトラック上に正確に位置決めしやすくします。精度を向上させることでトラックの隣接度合いをより狭めることができ、より多くのデータを書き込むことができるようになります。

HDD技術における今後の革新は、面記録密度に何をもたらすのでしょうか?

ウエスタンデジタルのHDDロードマップには、第2世代「ePMR」プラットフォームが含まれており、1.3 Tb/in2を超える面記録密度を実現します。当社のテクノロジー「UltraSMR」の成長は今後も続いていきます。

文中イラスト:Cat Tervo

著者: Marisa Miller
※Western Digital BLOG 記事(OCTOBER 10, 2023)を翻訳して掲載しています。原文はこちら

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