特にシリコンバレーでは、ビジネスは革新的であることが重要です。製品やプロセスを絶え間なく改善しなければ、企業は競争から取り残されてしまうのです。ウエスタンデジタルは、シリコンバレーで由緒ある企業として、このことをよく理解しており、未来に正面から立ち向かうために日々革新を続けてきました。
シリコンバレーの多くの企業と同様に、ウエスタンデジタルもまた、技術職、特にプロダクトマネージャーの人材不足に悩んでいました。非常に優秀な人材なら、初めからプロダクトマネージャーとして活躍されるのですが、必要な技術的知識とビジネス感覚を身につけるのはとても難しいものです。この課題に対処するため、ウエスタンデジタルのフラッシュビジネス部門では、プロダクトリーダーシップ開発プログラムを制定しました。MBAの新卒者を対象にしたこの革新的なプログラムは、技術分野未経験者を含め、幅広いバックグラウンドを持つ人材を採用することで、人手不足に対処する一方で、ウエスタンデジタルの働き方そのものを変革します。
このプロダクトリーダーシップ開発プログラムが、業界の類似プログラムの中でも異彩を放っているのは、MBAの卒業生を3年間のローテーションで実習生として採用することです。候補者は、ローテーションの前に各ポジション(部署)で1年間働きます。フラッシュ部門の上級副社長兼ゼネラルマネージャーのRob Soderberyは、このやり方が個人と企業の成長に欠かせないと考えています。
「当社はMBAの人材を取り込むことで、戦略的観点からビジネスを加速していきます」と彼は述べています。「ウエスタンデジタルの従業員は、個人と会社を成功に導くために、技術に精通し、コラボレーションスキルを磨いています」。
ウエスタンデジタルのフラッシュ部門プログラムマネジメント担当ディレクターであるHanna Gatelyにとって、これらのスキルは、彼女が管理しているMBAプログラムの中核を成しています。
「プロダクトマネージャーになるためには、ある意味、すでにプロダクトマネージャーでなければならないのです」とGatelyは語っています。「ビジネスにとって欠かせない高度な技術分野へのエントリーポイントを構築したいと思っています。同時に、グローバルで文化的な行動能力もまた、当社の特質からして優先度が高いのです」。
こういった高い期待に応えられる候補者は稀で、とても貴重な人材ですので、徹底的に調査しています。MBA学生との面接は、最終学年の秋、つまり入社日の1年前から始まります。応募プロセスを経てプログラムに進むことが認められた候補者は、ウエスタンデジタルの各採用担当マネージャーと面談し、ネットワークを築き始めます。候補者は人材募集の中から興味をそそる枠を探し、一方で採用担当マネージャーはビジネス要件を満たす配属者を探します。お互いに相性が合わなければなりません。
「これは個人自らが主導する“ひとが中心”のプロセスで、人物とそのキャリアに重点が置かれています」とGatelyは述べています。「候補者にとっては個人的な旅路のようなものであって、私たちは単にチェックボックスに印を付けるためにいるわけではありません」。
これほど徹底した採用プロセスのメリットは、真に卓越したクオリティと経験が備わった候補者を最終的に採用できるということです。プロダクトマネジメント・プログラムは、バックグラウンドや経験を問わず、全国から多彩な人材を集めています。
データセンター向けハードディスクドライブおよびフラッシュソリューションのプロダクトマネージャーであるSandra Torresは次のように回想しています。「ウエスタンデジタルに入社する前、私は製薬・バイオテクノロジー業界に10年以上勤務していました。その分野は学校で学んでいましたので、受けた教育を考えればそれは自然の流れでした。しかし、時間が経つにつれて、私はビジネス面や製品の開発方法に対して、一層興味を抱くようになりました」。
Torresは、フルタイムで働きながらGies College of BusinessでMBAを取得しようとしていた時に、ウエスタンデジタルのプロダクトマネジメント・プログラムの存在を知りました。それは彼女の望み通りのものでした。
「異なる業界に転職するには、成功するために必要なサポートを提供してくれるだけのリソースと、支えようとする信念を持った会社でなければならないと思っていました」とTorresは語っています。「ウエスタンデジタルは、MBA取得者に対するプログラムという形で、技術力、グローバル性、信念に対する私の要望をすべて叶えてくれました」。
果たして、彼女の直感は正しかったのです。プログラムへの参加が許された後、Torresはウエスタンデジタルのリソースとサポート担当が彼女に興味を掻き立てる課題を与えるだけでなく、それを乗り越える方法も教えてくれることが分かりました。当社のエンジニアリングフェローと会話をしたり、最大の国際的パートナー企業と共に作業するなど、Torresは挑戦的で刺激的な環境に迎えられたのでした。
「これまで受けた指導を尊重しながらも、私なりのやり方で課題に取組むことで、楽しく働くことができました」と彼女は語っています。「何かを学ぼうとして人に接した時に、断られたことなどありませんでした。誰もがスマートで知識が豊富なだけでなく、それを共有したいと考えていました。その意味で、この会社にはとても協力的な文化が根付いており、それは大変貴重なことだと思います」。
このMBAプログラムの参加メンバーであるOlivia Thomasにとって、コラボレーションはプログラムの中核を成すテーマでした。Thomasは学位を取得した後、石油・ガス業界に入社しましたが、自分に向いた仕事ではないと考えていました。そこで彼女はMBAを取得する決心をし、もっとビジネスに関わる職務に携わることにしました。Thomasはエンジニアリングの経歴があり、研修も十分積んでいました。それでもウエスタンデジタルへの転職には難しさを感じていました。
「正直に言うと圧倒されています。ときには多くの特許を取得している名だたるエンジニアと一緒に仕事をしているのです」と彼女は述べています。「それでも、共に働いた人々はみな優しく接して理解してくれました。私は、自分の視点がこれほどまでに評価されていることに衝撃を受けました」。
Thomasは、彼女のチームだけでなく、MBAプログラム自体を通じて、奥の深い支援のネットワークを見つけました。
「私にとって、このプログラムの最大のメリットのひとつは、人のネットワークを提供してくれることです。たった1年間で、これほどのネットワークを築けたとはとても信じられません。私の同僚だけでなく、共に働いたチームや部門を越えて出会った仲間達の人脈です」とThomasは述べています。
「前職では指導を受けたメンターとのつながりは感じていたのですが、ウエスタンデジタルでは、すべての人が私をサポートすることに取り組んでいると感じています」
GatelyとSoderberyは、MBAプログラムが、新しい世代のプロダクトマネージャーの研修にとどまらず、ウエスタンデジタルの継続的なトランスフォーメーションの鍵を握ると考えています。当社の多くのエンジニアやリーダー達は、自らの分野やその背後にある技術に関して卓越した知識を持っています。そもそも彼らの多くがこの産業の創造や発展に貢献してきたのです。このプログラムは、組織として知識が決して失われることのないようにしています。知識を保持し、それを越えて成長することがこのプログラムが本来目指しているゴールです。
「プロダクトリーダーシップ開発プログラムは、人材採用と社員育成の方法を変え、従業員の働き方に直接影響を与えています」とSoderberyは語っています。「この参加グループは会社の方向性をも変える潜在能力を秘めているのです」。
著者: Thomas Ebrahimi
※Western Digital BLOG 記事(JANUARY 17, 2023)を翻訳して掲載しています。原文はこちら。