NVMe™は現代のプロトコルですが、次世代ITインフラの基盤でもあります。将来が期待されるプロトコルであるエンドツーエンドのNVMeは、今後いつ、どのように次のステップに進めばよいのでしょうか?市場に出ている新しいソリューションは、今こそNVMeを活用しNVMe-oF™のメリットを得る時です。その理由5つを見ていきましょう。
NVMeは、それ自体が性能面でのゲームチェンジャーなのです。フラッシュストレージはディスクドライブより高速ですが、データセンター環境に導入される場合は常にそのインターフェースにより制約されてきました。SASとSATAは、SSDをディスクのように見せることができるため、出発点としては優れていました。しかし、これらのインターフェースは、あくまでディスク向けに設計されたものであり、フラッシュストレージのパフォーマンスを扱うことはできません。オリンピックの短距離走者にスキー靴を履かせるようなものです。
次のステップは、SSDにフォーカスしたNVMeインターフェースの導入でした。これは、帯域幅、効率性、並列性を高めたフラッシュに向けて設計されたインターフェースで、NANDの特性である低レイテインシーを生かすことができます。
NVMe SSDは継続的に改善されており、定期的に新機能や仕様(ZNSなど)が加わり規格が強化されています。ウエスタンデジタルの最新のUltrastar® DC SN840は、自社製のNVMeコントローラー、ファームウェア、および96層3D TLC NAND技術を垂直統合した第3世代のソリューションです。低レイテンシーとデュアルポートの高可用性を備えたこの製品は、データ集約型の新しいアプリケーションを強化する、将来性のあるソリューションです。
データセンター環境において、NVMe SSDはサーバーのワークロードを加速させる非常に有効な手段ですが、一方で問題も抱えています。NVMeの速度の恩恵を受けるには、SSDをPCIeバス上かプロセッサの近辺に配置するか、ローカルに接続する必要があります。PCIeバスは、サーバーから外部へ拡張することができないため、各サーバーを個別に高速化することはできても、ホスト間で簡単に共有できないSSDのミニサイロができてしまうのです。
NVMe-over-Fabrics、すなわちNVMe-oFの導入は、データセンターのインフラを改善するための次のステップです。NVMe-oFを使用すると、ローカルに接続されたSSDと同等のパフォーマンスを維持しながら、NVMeベースのストレージをホスト間で共有することができます。
その速度はどの程度なのでしょうか?ウエスタンデジタルは、最新のエンタープライズクラスのNVMe SSDであるUltrastar® DC SN840だけでなく、すべてNVMe JBOF(Just a Bunch of Flash)であるOpenFlex™ Data24 NVMe-oFストレージプラットフォームを発表しました。SASベースのUltrastar 2U24フラッシュストレージプラットフォームは、4.7M IOPS、25GB/秒の帯域幅、1ミリ秒未満のレイテンシーを備え、常に非常に高速であることが評価されてきました。OpenFlex Data24の最終的な性能数値はまだ公表されていませんが、初期の予測値は素晴らしいものです。ラボでのテスト結果では、最大13.2M IOPS、70.7GB/秒の帯域幅、最小42マイクロ秒の書き込みレイテンシーというパフォーマンスが得られる見込みです。これが複数ホストで共有できるストレージに適用されるNVMeのパワーです。
私たちは、性能を上げるには当然コストがかかると思ってきました。しかし、OpenFlex Data24はその考えを過去のものにしました。NVMe-oFは、極めて高いパフォーマンスを必要とするワークロードを低価格でサポートします。実際、SASのJBOFと比較すると約17%のコスト削減が見込まれます。これは、当社におけるシリコンからシステムに至る垂直統合の思想からきています。この新SSDは、NANDフラッシュメモリーからコントローラーおよびファームウェアまで垂直統合されていると述べましたが、OpenFlex Data24全体が自社設計となっており、RapidFlex™ NVMe-oFコントローラーとASICSが含まれています。
JBOFは、ストレージを共有する、ごく一般的なアプローチであり、複数のサーバーがリソースを共有することができます。また、アプリケーションのニーズに応じて、ストレージの割り当てや再割り当てを行うことができます。そして、これを実現するいくつかの簡単な方法があります。
OpenFlex Data24は、最大24台のDC SN840 NVMe SSDを収容できる2Uエンクロージャで、未フォーマット時の容量は最大368TBです(※1) 。また、RapidFlex NVMe-oFコントローラーカードを6枚まで収容できます。このカードは、超低レイテンシー、100Gb Ethernet(今日すでに利用可能な優れたパフォーマンス)、および低消費電力など、接続性に関するメリットをいくつも提供します。
スイッチなしで最大6台のホストを直接接続できますが、スイッチドファブリックを使用すると接続性が劇的に向上し、柔軟性が増し、使用効率が最大化します。
効率性こそが最も重要であり、この業界が向かう所はコンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ(以下、CDI)です。これは私たちにとって、新たなデータインフラはどうあるべきかという、より大きな概念の一端です。コンポーザブルであるだけでなく、オープンで相互運用可能であることが重要です。OpenFlex Data24は、Open Composable APIに準拠しており、CDIの一部として導入することができます。
また、当社は他の業界リーダーと共にオープンコンポーザブルコンプライアンスラボ(OCCL)を開設し、ファブリック接続デバイスのエコシステム全体での採用と相互運用性を推進しています。OCCLへの参加をご希望でしたらopencomposable.comをご覧ください。
OpenFlex Data 24、そのNVMe-oFアーキテクチャ、およびUltrastar DC SN840 NVMe SSDは、サーバー間でSSDへの投資を共有することで次の技術更新を検討し、コストと効率を改善するための大きな拠り所になります。今こそ、スキー靴を脱いでランニングシューズのひもを締めるときです。
※1… 1テラバイト(TB)は1兆バイトです。 実際の有効容量は、動作環境により少なくなる場合があります。
著者: Steve Wilkins
※Western Digital BLOG 記事(JUNE 24, 2020)を翻訳して掲載しています。原文はこちら。