2022年02月10日
ファブリックと新しいデータ・インフラ

新しいデータ・インフラが登場しています。それは一体何なのか、そしてなぜ必要なのでしょうか?第一に、それはデータに関わるすべてのことであるといえます。データ・インフラという言葉からは、携帯電話や自動車、人工衛星、その他多くのモニター、センサー、機器類などから吐き出される非構造化データの急増を思い浮かべるかもしれません。データインフラを、あらゆるデータから有益な情報を取得するのに役立つデータベースやアプリケーションと捉えても決しておかしなことではありません。そして、そのデータから価値を見出すことで興味深いことが起こるのです。さらに、データ・インフラの一部は、データ・ガバナンス、データ・クレンジング、データ・エンジニアリングと考える人もいるでしょう(その通りです)。言い換えればデータは複雑なビジネスそのものなのです。

新しいデータ・インフラが必要となる背景は?

私たちが既にあらゆる種類のデータ・インフラを備えているのは確かです。しかし、昨今のビジネス変化の速さが、新たなアーキテクチャを必要としています。ビジネスはかつてないほど急速に変化しており、テクノロジー施設を整備する重要性が一層高まっています。新しいビジネスモデルを開発できる企業は、できない企業よりも高い利益を生み出し、高く評価されるという調査結果もあります(※1)。逆に、迅速に適応して技術を効果的に利用することができない企業は短命に終わっています(※2)。

テクノロジー施設を整備することの重要性は、かつてないほど高まっています。

硬直したインフラは、企業の変化のスピードを鈍らせます。企業が新しいビジネスモデルを策定する際には、データの収集、処理、および保存の新しい方法が必要になることがよくあり、それにインフラは追従しなければなりません。インフラの整備が遅れると、素晴らしいアイデアがあっても競合他社に追いつかれ、優位性が奪われてしまいます。データセンターのインフラを計画、調達、および展開する旧来型の方法は、サービスと高速データによって推進される世界にはふさわしくないモデルです。機敏で、柔軟かつコンポーザブルでなければなりません。

未来はコンポーザブル

コンポーザブルとは何でしょうか?コンポーザブルとは、必要なデータ・インフラの一部を組み立て、必要に応じて組み立て直すことができるコンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ(以下、CDI)のことを指します。コンピューティング、メモリ、ストレージ、ネットワーキングなどのITリソースを柔軟なビルディングブロックと見なした場合に、CDIは、新たなビジネスニーズに即座に対応し、常に最適なレベルのリソースを提供します。これにより、ハードウェアリソースとデータ管理の効率が大幅に向上します。

ファブリックの登場

付属する要素間の接続を制限するネットワークとは異なり、データセンターの「ファブリック」は、要素間の任意の接続を可能にします。このフラット化されたアーキテクチャは、接続のマトリックスが十字模様のように見えることから命名されました。
以下に示すように、さまざまなリソースを共通のデータ・ファブリックに差し込むことで必要なITリソースを作成することができます。

図1: オーケストレーションツール(共通のデータ・ファブリック上のITリソース)

すべてを統合する

ITリソースが動的に機能している様子を図2に示します。ここでは、これらのさまざまなITリソースをオーケストレーションレイヤーで管理して、必要なものだけを集めることで、不要なリソースのコストを削減しています。
このアプローチは、私たちがパブリッククラウドで慣れ親しんできたものと非常によく似ていますが、優れたパフォーマンス、低遅延、データパスとそのコストに対する最大限の制御など、オンプレミスでのデプロイにおけるあらゆるメリットを備えています。クラウドとは上手に付き合いながらも、自社データが置かれている場所を見失うことはありません。
急速に変化するビジネス環境に対応するには、巧妙なアーキテクチャが必要です。あらかじめビルディングブロックが構成されているハイパーコンバージド・インフラストラクチャとは異なり、コンポーザブル・インフラストラクチャでは、これらのリソースは各ワークロードに合致した特性で必要に応じて展開されます。

小さなアプリケーションでも要求の厳しいAIでも処理可能

以下の例では、汎用リソースのプールによって、さまざまな特殊な構成が生成できることを示しています。

図2:リソースのプールを「composing(構成)」することによって出来上がるシステム

この図では、ワークロードの要件に基づいて、新しいシステムにリソースが割り当てられる様子を示しています。たとえば、
• システム#1では、リアルタイム分析を実行するためのCPU、GPU、フラッシュメモリー、およびメモリーが割り当てられています。
• システム#2では、より一般的なワークロードのためのCPU、FPGA、フラッシュ、メモリー、ディスクの各リソースが割り当てられています。
• システム#3では、バックアップ用のワークロードを実行するためのCPU、メモリー、大容量ディスクが割り当てられています。
• そしてシステム#4には、ハイパフォーマンスの特殊なワークロードを実行するために、大容量のメモリとフラッシュと共にFPGAベースのシステムが割り当てられています。
このコンセプトがご理解いただけたと思います。

ウエスタンデジタルのアプローチ

CDIはまだ始まったばかりです。現在、データセンターにはマーケットレディ・ソリューションが導入されているほか、完全なコンポーザブル・アーキテクチャへの足がかりとなり得る技術もあります。当社のコンポーザブル・インフラストラクチャに対するアーキテクチャアプローチはOpenFlex™として知られています。
OpenFlexアーキテクチャは、変化するアプリケーション、プロジェクト、およびビジネスニーズに適合するシステムを構築するために必要な、柔軟でスケーラブルな特性を備えています。これは、新しいデータ・インフラがどうあるべきかという、当社のより大きな考え方の一端を示しています。コンポーザブルなだけでなく、オープンで相互運用性があるべきです。
当社のコンポーザブルアプローチは、高性能フラッシュデバイスへの高速接続を提供するNVMe-oF™データファブリックを中心に構築されています。NAND型フラッシュメモリーに関する当社の専門知識と、弊社傘下のKazan Networksを活用することで、市場最高の性能と密度を提供することができるのです。しかし、それはデバイスだけに限りません。OpenFlexアーキテクチャは、さまざまな技術に対応しています。それはオープンなアーキテクチャであり、フレームワークにお客様の部品を統合するためのAPIが公開されています。また、異なるベンダーの部品が単一の環境下でシームレスに動作することも保証しています。当社のオープンコンポーザブル・コンプライアンスラボの取組みでは、これを実現するために広範なエコシステムと連携しています。

新しいデータ・インフラ

現在は、オープンコンポーザブル・インフラストラクチャ、OpenFlex、および新しいデータ・インフラの黎明期です。もし、技術刷新を考えているのであれば、今がOpenFlexを検討するチャンスです。一歩前に進みたいのであれば、NVMe-oFソリューションから始めることをお勧めします。
ビジネスがインフラのスピードと連動するようになった今、他社との競争力を維持することが求められています。OpenFlexの詳細については、こちらをご覧ください。

※1… テクノロジーは、私たちの業界への見方、企業の評価、戦略策定の方法を変えています。詳細はこちら

※2… 2018年の企業寿命予測: 創造的破壊が加速。詳細はこちら

著者: Erik Ottem
※Western Digital BLOG 記事(FEBRUARY 26, 2020)を翻訳して掲載しています。原文はこちらから。

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