最近の市場調査 (※1) で、スマートビデオシステムのストレージには、主にハードディスクを使用し、スマートカメラ(監視カメラ)には、主に耐久性の高いフラッシュメモリーを搭載していることがわかりました。
セキュリティ会社のセキュリティ関連のシステムインテグレーターに対して行った調査では、データのキャプチャ、保存、分析において、ハードディスクやメモリーカードなどの各種ストレージがその中枢として使用されているとの回答が返ってきました。容量と耐久性が要になることから、ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリーに大きく依存しているようです。この業界では、従来のセキュリティ重視の監視の枠を超えて、カメラ、ストレージ、画像処理、ディープラーニングのアルゴリズムを組み合わせて、人々の体験を向上させるソリューションとしてスマートビデオと呼ばれる新たな利用形態が広がっています。
ウエスタンデジタルの委託により実施したこの調査では、一連の質問に対して、回答者の76%が、それぞれの業界でますます重要な役割を果たしているのは、ビデオ分析と人工知能(AI)だと答えています。新しい技術から知見を得たいという要望は常にあり、急速に成長しているスマートビデオの分野で、データ分析とAIが非常に重要になっているのは当然のことといえます。
AIとデータ分析が最も注目されている一方で、74%の回答者がビデオストレージのリモート管理とコンフィギュレーション(構成)が不可欠だと考えていました。カメラ内蔵ストレージの重要性を尋ねたところ、70%が「とても重要」と回答しました。
これらの回答は、より高解像度のカメラやレコーダーをもっと活用したいと望んでいるお客様が増加していることを示しているのではないでしょうか。つまり、これらの機器に搭載されているハードディスクやmicroSDカードに保存されたリアルタイムデータと履歴データに基づいて意思決定を行えるようにしたいと考えているのです。そのためには、AIソフトウェアやアクセラレータを手掛けるパートナーとのエコシステムの構築が必要になり、それに加えて、さらに大量のストレージも必要になります。
今回の調査結果によると、2019年に最も多くのスマートカメラが導入された場所は、オフィスビルと商業ビルで、次いで製造業、学校の順になっています。今後3~5年について質問すると、学校が最も急速に普及すると予想しており、次いでオフィスや商業施設、政府・自治体の施設、小売店、娯楽施設などが続きます。都市の駐車場や公共交通機関などにおけるスマートシティカメラの導入事例は、セキュリティインテグレーターにとっても大きく成長するチャンスであり、現在広く使用されている既存製品に急速に追いついて普及する可能性があります。
一般企業、小売業者、政府機関、大企業は、ビルへのアクセスの簡素化、自動化の拡大や、駐車や交通システムの効率化、カメラやレコーダーのリモート管理機能などを求めています。ビデオレコーダーに搭載されているHDDと、スマートカメラに搭載されている高い耐久性を持ったフラッシュメモリーは、これらのスマートビデオの導入をさまざまな業界で加速させる役割を担っており、また、AI、ディープラーニングでデータを分析することで、ビジネスにつながる知見を提供でき、その価値を高めることができるのです。
たとえば、ウエスタンデジタルのパートナーであるAngelTrax社(※2)は、カメラやストレージを利用したソフトウェアによりバスなどの車両情報を管理することで、生産性、効率性を向上し、より安全な車両管理を実現することで、成長を続ける輸送市場に貢献することができます。
AngelTrax社の社長兼CEOのリッチー・ハワード(Richie Howard)氏は次のように述べています。「当社が20年以上前にモバイルビデオ市場に参入したとき、当社のお客様は、主にスクールバスやその他の車両内の様子を記録するためにストレージを使用していました。ビデオは、必要に応じて1日の終わりにアーカイブされていました。今日では、ウエスタンデジタルのストレージを使用することで、お客様はHD 1080P以上の解像度で、大容量のストレージにビデオを記録して保存しています。さらに、GPS座標、道路地図上の停留所位置、車速、乱暴な運転や注意散漫な運転を捉える、AIで強化されたドライバーの行動検知などのメタデータも加えられています」。
この調査では、導入されているストレージのタイプは多様であることがわかりました。回答者は、50%のシステムにHDDを搭載しており、耐久性、信頼性、パフォーマンス、容量が主な特長だと答えています。同時に、クラウドベースのシステム、ソリッドステートドライブ(SSD)、オンボードのmicroSDカードがスマートビデオの導入時に追加されており、回答者が導入したシステムのうち、それぞれ21%、19%、10%で使用されています。
より高解像度のカメラが普及するにつれて、ビデオや画像ファイルのサイズが大きくなり、HDDやmicroSDカードも大容量化しています。カメラのオンボードストレージに使用されるmicroSDカードは、プライマリストレージとして、またはクラウドベースシステムのバックアップとしての利用も増えています。microSDカードは手の届きにくい場所に取り付けられていることが多く、サービスを受けることが困難です。回答者は、製品に求められる機能として、カメラに搭載されているmicroSDカードの状態をモニターできることを挙げています。
この独自調査は、ウエスタンデジタルが委託した、米国の企業間展示会、カンファレンス、コンテンツ、メディア製品を手がけるEmerald社によって実施されました。この調査は、監視ソリューションのプロバイダーやインテグレーターを対象にして行われ、157名の回答者がスマートビデオソリューション導入におけるストレージの技術、トレンド、導入事例についての見解を述べています。調査方法は、Eメール経由で行われ、90%の信頼区間が得られており、zスコア(境界値)は1.645です。また、調査の誤差は2.52%です。
注釈一覧:
※1…ウエスタンデジタルが実施したスマートビデオストレージに関する調査。詳細はこちら(英文)
※2…AngelTrax社のウェブサイトはこちら(英文)
著者: Stefaan Vervaet
※Western Digital BLOG 記事(SEPTEMBER 17, 2020)を翻訳して掲載しています。原文はこちらから。